物理化学は現代化学において定量的な記述を行うために欠くことのできないものです。様々な物理量の測定、解析、比較、制御、さらには現象の背後にある法則の発見など、大学初学年で修得する数学的手法を駆使して対象の物理的本質を見抜くために共通して使われる多くの概念が物理化学から派生し発展してきたものです。化学・生命現象の理解が単なる事実の羅列に終始することがないように、それらの結びつきの強さや現象のしくみを解明するために物理化学の知識とスキルが要求されます。本講義は、熱力学を中心にエネルギーとエントロピーの関連性についてを修得しながら、「数学、工学基礎や情報処理技術、そして化学工学に関する基礎知識と能力」を養成します。
■受講学生が達成すべき目標:
1.エントロピーの意義と熱力学の第二法則を理解する。
2.ギブス自由エネルギーの意義、およびそれに基づく系の自発変化を理解する。
3.混合物や溶液の状態変化を定量的に扱う方法を理解する。
4.章末の演習問題を解答することで各章の到達度を自己検証する。
■成績の評価基準:
小テスト(3割)、期末試験(3割)、問題演習(2割)、レポート等(2割)により総合的に評価します。ただし、全講義の4/5以上の出席が必須である。
■参考書・教科書:
教科書:ISBN 978-4807906956 :P.W.アトキンス 著、物理化学(上・下)第8版、東京化学同人
参考書:ISBN 978-4807902590 :G.W.カステラン 著、カステラン物理化学(上) 第3版、東京化学同人
■修得しておくべき科目・必要な予備知識:
「線形代数学I」「線形代数学II」「微分積分学I」「微分積分学II」「情報活用基礎」「物理化学基礎」の修得が望ましい。