応用数学は現代化学において使われる概念(物理化学や量子論など)の理論的記述を行う上で欠くことのできないものです。化学の分野では、さまざまな物理的・化学的・生物学的現象を分子レベルの現象から解析することが重要であり、そのほとんどが数学的知見により基礎づけられています。大学初学年で修得する数学的手法を発展させ、化学・生命現象の理解が単なる事実の羅列に終始することがないように、それらの現象の背後にある数学的構造を解明するために応用数学の知識とスキルが要求されます。本講義は、反応速度論や分子軌道法などを取り上げながら、実用的な数学手法とその概念を中心に修得し、「数学、工学基礎や情報処理技術、そして化学工学に関する基礎知識と能力」を養成します。
■受講学生が達成すべき目標:
1.化学反応に伴う物質量の変化を微分方程式で表現し、その解を得る方法を理解する。
2.分子レベルの現象を記述する数学的方法を理解する。
3.分子集合である材料や流体の挙動を記述する数学的方法を理解する。
4.章末の演習問題を解答することで各章の到達度を自己検証する。
■成績の評価基準:
期末試験(6割)、問題演習(2割)、レポート等(2割)により総合的に評価します。ただし、全講義の4/5以上の出席が必須である。
■参考書・教科書:
参考書:ISBN 978-4759800081 :大岩 正芳 (著) 「化学者のための数学十講」(化学同人)
参考書:ISBN 978-4807901784 :高分子学会 (著) 「化学者のための数学」(東京化学同人)、
参考書:広田 栄治 (編), 外山 正春 (編集) 「化学者のための基礎数学」(南江堂 1972)
■修得しておくべき科目・必要な予備知識:
「線形代数学I」「線形代数学II」「微分積分学I」「微分積分学II」「情報活用基礎」の修得が望ましい。